鴨飯

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毎年、晩秋から冬に移り変わるこの時期、我国には北の大地より多くの渡り鳥が飛来する。

爾来日本人は肉食を好まぬとされ、肉が人口に膾炙し始めたのは明治期からなどと、巷間ではまことしとやかに語れるのであるが、そんなことは無い。

古書をひもとけば、古くから薬食いと称して、口の奢った食通だけではなく庶民も口にしていた事が良く解るだろう。

もっとも、畜産などは無かったので、手に入るのは鹿や猪が多く、ほかには軍鶏や鶏(これらは飼育されていた)が主で、流通量も少なかったのではあるが。



当然、北の大地力から渡ってくる鴨や雁も、冬の味として人々の口を楽しませてきた。

最近は、インフルエンザの媒介になっているなどと敬遠されがちだが、それを忘れるほど美味である。



先日の解禁日より、我が家の食卓には連日鴨や雉が並んでいるのだが、今夜は夜食に「鴨飯」を作った。



鴨肉から脂皮を取り、これを米と水、酒と共に炊く。醤油を少し加えると、香りが良いのだが焦げやすいので、塩のみで味付けしても良い。

肉は薄く削ぎ切りにして、塩で軽く揉んでからフライパンで焼く。

炊き上がった飯に焼いた肉を乗せ、中央に卵黄、そして刻んだネギかセリを添えれば完成である。

好みで醤油をかけ回せば良いが、醤油に酒を含ませ煮切ったもののほうが美味い。







中央の卵黄を突き崩し、周りの肉の上に広げ口に運ぶ。



「む・・・」

一気に半分ほどかきこみ、そこで思い出したかのように息を吐く。

「うまい」



飯粒は脂を吸い込み、つやつやと薄茶に輝いている。

肉は、表面を強火で焼いた後に厚い飯の上で蒸らしてあるので、柔らかく肉汁も逃げていない。塩であっさりと味付けしてあるだけなので、濃い味のタレとのコントラストが楽しい。

鴨の味は強く、それに負けないよう味付けも濃いが、卵黄がそれを和らげ滑らかな味わいになる。



はっきり言って美味い。

言葉を幾ら連ねようとこの味は表現できない、などと書くとモノカキとして失格なのだが、私はモノカキでは無いので構わんだろう。





これと同じ調理法で、鶏を使ってもまあまあ美味いのだが、鶏は鴨よりも味が弱いので、肉を照り焼き風にすると良い。
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by rwalker | 2006-12-12 22:33 |
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