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SAS ASSAULT VEST(Pack, Combat, Lightweight)

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60年代に英軍特殊部隊がボルネオで使用するために開発した、Pack, Combat, Lightweight。
前部に二つのポーチと背中にバックパック、肩はメッシュ地、裾はループでベルトに固定でき、胴回りは両脇に2本づつ付いたストラップで調整する。
従来のウエビングとの併用も可能。
汎用性の高いデザインのため好評で、世界各地での作戦に使用され、湾岸戦争あたりまで使われた。
短期のパトロール、監視任務、汎用機関銃手などに使い勝手が良かったという。

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フロントのポーチは大型で、58パターンウエビングのキドニーポーチほどの大きさ。
バックルは、米軍ALICE装備のマガジンポーチのものに近い。
ポーチの前面には上の開いたポケットが縫い付けられ、M16やFALのマガジンも入るサイズ。主にフィールドドレッシングの収納に使用されたようだ。
フロントの袷は二個のトグルボタンで閉じる。
アナクロだが、まず故障の心配は無く、壊れても修理は容易である。

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バックパックはカナダ軍のバットパックとほぼ同じ大きさ。
フラップを固定するストラップはバックルでは無く、結んで留める。
着用中は物の出し入れが可能な位置ではないので問題は無いだろう。
これも、まず故障の心配は無い。
フラップと底にナイロンテープが縫い付けられ、ポンチョロールやキップマットをくくり付けられる。

袋を3つ繋げただけのシンプルなデザインだが、意外と着用感は良い。
振り分け荷物のようになるため、重量のバランスは良く考える必要有り。
チェストリグと違い、両脇にポーチが無く腕の動きは楽。
水筒やナイフ、各種ポーチを吊ったベルト連結することで、温暖期に3日程度行動するだけの装備を、しっかりと身体にフィットさせて携行できそうである。

ミリタリー用としては現代のモデルには敵わないが、シンプルな分軽く、中身を決められたポーチでは無いので何を入れても良く、アウトドアレクリエーション用にも適している。


このベストをベースにして、80年代に開発されたSBSベスト(Arctic Vest)。
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前部にはM16やFAL用のマガジンポーチ、右脇にはレーションポーチ、左脇には40mmグレネード用ポーチ(4発分)、両胸にはフィールドドレッシング用のループ。
背中にはメッシュ地のバックパックと、下部にポンチョロールやビヴィー、軽量の寝袋が入る筒状のメッシュバッグが付く。
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by rwalker | 2009-09-29 23:36 | 運搬

SAS Ration/Escape Pouch(E&E pouch)

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一昔前の英軍装備。
2ポジションでベルトに吊れる。
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メスティンが丁度納まるサイズ(画像のメスティンはカナダ軍のもの、英軍のものより少し軽い)。
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フラップを留めるバックルはストラップとプラスチックループを組み合わせた形で、基本的な形状は大戦中の英軍装備と変わらない。
ストラップを引っ張るだけで外れ、殆ど音がせず壊れにくい。
しかし、これを嵌めるのは普通のバックルやスナップよりも少し手間である(慣れれば問題無いが)。
同様のバックルは、ドイツ軍やカナダ軍でも使われている。

BCBのEMERGENCY RATIONなら二つくらい入る。
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仕切りなどの無いただの袋。
内側に、ナイフやライト、スプーンの入る細長いポケットを縫い付けても良いだろう(カナダ軍のポーチには、内側側面にポケットが付いている)。

ベルトからぶら下がる形で吊れるので、バックパックのウエストベルトと干渉せずに装備できる。
BCBのEMERGENCY RATIONとFAK、パラコードとヒートシート、などは充分に入る大きさなので、本来の用途通りE&Eキットの収納に良いだろう。
メスティンの大にキットを入れてからポーチに収納して、内容物の保護と引き出しのように取り出しやすさを得ることも可能。
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by rwalker | 2009-09-29 23:28 | 運搬

Scrap Yard Knife Works Son of Dogfather

BUSSEの系列で、比較的安価ながらもやたらと丈夫なScrap Yard Knife Worksのナイフ。
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SOD (Son of Dogfather)

The blade is 7.5 inches long and is .250 thick. It is made of SR77 and comes with our standard lifetime warranty. Clearly the SOD honors and upholds the "performance to price ratio" tradition of Scrap Yard Knives.

Steel: SR-77
Hardness: 58 - 60 Rc
Handle: Resiprene C
Thickness: .250"
Blade Length: 7 1/2"
Overall Length: 12 1/2"
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ブレードは7インチ半とあるが、エッジは15.6cm、ハンドルとの境からは19.5cmある。
フラットグラインドで、刃の幅は広く、ベベルの角度は小さい。
工場出しの状態でのエッジの角度は鈍く、安いナイフにありがちの刃付け。
かなり大き目のチョイルが目立ち、これでブレードの長さを稼ぎチョッピングパワーの増大している。
チョイルに指をかけて細かいコントロールも可能。
サムランプもある。
鋼材のSR-77は炭素鋼で、S-7(削岩機の刃などに使われる)の改良型。
同社の別モデルだが、SODに近いサイズのテスト動画がある。
http://www.youtube.com/watch?v=4ODwoWE8vco&feature=player_embedded
この動画でテストされているScrapper 6は刃厚0.275インチで、0.250インチのSODより若干厚いが、SODもこれに近い強度があるだろう。

ブレードのコーティングは分厚くタフそうだが、ざらついている為スライスには抵抗になりそうだ。

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ハンドルはゴム様の合成物Resiprene C。
固めでべたつく感じも無く、適度なグリップ。
COLD STEELのものに似ているが、もう少し固い。
比較的薄めで、刃筋の感覚を掴みやすい。
見た目は安っぽいが、なかなか良さそう。

0.25インチ厚で幅広の刃とナロウタング(タングはかなり太いが)、薄めでヴォリュームの少ないハンドル、などの為、重心はポイント寄り。
サイズの割りにチョッパーとしての使い勝手が良さそうだ。

刃を付け直し、手ごろな鞘を用意すれば、かなり良さそうな感じである。
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by rwalker | 2009-09-28 22:11 | ナイフ

キャムピングの仕方と其場所

キャムピングの仕方と其の場所
著者 鉄道省(鉄道省東京鉄道局運輸課:茂木愼雄氏)
大正十五年六月五日発行
昭和二年七月十日七版
定価壱円三拾銭

実に83年前に出版されたアウトドア本。
日本で初めてオートキャンプを紹介した本だとも言う。

冒頭
「キャムピングは人間が森林の裡でヤマユリの花を採つたり、ハチミツを集めたり、ミソサザイを友としたり、カモシカを侶としたりしてゐた時代への憧憬の発露なのであります。
 キャムピングは人間が新緑に囲まれた渓流でイワナ釣つたり、丘の傍でウサギを逐つたり、廣い野原でウシやヒツジを放つて暮らした平和な過去への憧憬なのであります」

WW1、大正デモクラシー、関東大震災を経て、きなくさい昭和に向かう時期であることを考えると感慨深いものがある。
全文に通ずるが、こちらの感に訴え鼓舞するような書き方が顕著である。
所謂「アウトドア」が輸入された70年代から80年代の本にも似たようなところがあった。
「森林に関する知識」や「捜跡判路」という言葉に「ウッドクラフト」「パスファインディング」と横文字のルビを振るような感覚も近いように思う。

最初の章に、E・T・シートンの文が引用されているが、恐らく「The Birch Bark Roll」か「Woodcraft and Indian lore」からだろうと思う。
以後の章でも、シートン、Horace Kephart、Nessmukの本からの引用が多く見られ、それらの本のダイジェスト版的な読み方もできる。
おかげで、メートル法やインチ、ヤード、ポンド、尺貫法が混交で、すこぶるわかりにくかったりするが。

次章「天幕について」は、帝国陸軍の携帯天幕とNessmukのテント以外は、殆どHorace Kephartの「CAMPING AND WOODCRAFT」からだった。。
陸軍の携帯天幕は、1.5m四方の綿麻混紡布で、四隅にハトメガ付き、四辺にはボタンとボタン穴があり連結して使用できる。
個人用から十数人収容可能な大型のものまで作れ、状況に応じて変化できる柔軟性に富んだ張りかたができた。
スイス軍やベルギー軍も同様のものを使用していた。
この本にもイラスト入りで張りかたが紹介されているが、旧軍の教範や、イギリスで出版された「COMBAT AND SURVIVAL」の25巻が詳しい(こちらは菱形だが)。
移動キャンプ用に良いとされている、シングルウォールのピラミッド、ハーフピラミッドなどが2.3人用で2kg以下なので、そう重いものでもない。
昔は重いものばかりと言うイメージがあったが、そうでもないらしい。

天幕の作り方もある。
「天幕は決して借りるものではない。自分の個性、趣味、用途、目的地等に適応したものを自ら裁ち自ら縫ふて作るが良い。」とある。
これはRAY-WAYにも通じる部分だと思った。
ハイキングの章にも、荷物の重量が20ポンド(最軽でだが)くらいともあったので、かなり近い。
肝心の作り方は、英国山岳会推奨登山用テントとロイステントである。
前者はサイドウォールのついたツェルトのような感じで、底が六呎の四呎、高さは三呎九吋、重量は三封度半を超えないそうである。
後者はKephartの本からそのままだった。

服装の章にあった「下帯(ルビはペシニュ) 幅五寸、長二尺の布の一端に二本の紐をつけたもの」は、少々幅が狭すぎると思う。
当時の流行りかなんかだったのだろうか?

個人的携帯品の章。
「文房具類 (中略)表に文房具類と書いて置けば紛失を防ぐ為にもよく探す時にも便利である。」
「化粧品類 (中略)表に化粧品類と書いておくがよい。」
「修繕用具 (中略)表に修繕用品とかいて置け。」
書いている途中で面倒になったのか、三段オチなのかよくわからないが面白い。

野外料理の章では、食パンについて「一週間分位持つていても別段悪くなる心配もないから極めてキャムパーの携帯向であるが、日本人は平生米食をやつている関係上すぐパン食に飽いて終ふので何ともならない。パン食論者は何と言はうとも一般が炊立ての飯の味に舌鼓をうつ間は野外料理法の中から飯の焚方を省略する訳にはいかないと思ふ。」とあり、なんらパンについての説明が無く、炊飯法の導入部になっているだけだった。
他の部分では横文字を使い、海外の本そのままが多かったのだが、食べ物はそうはいかないようだ。
「日本人が本気で怒るのは食い物に関するとき」とも言われるが、昔から食事にはうるさい国民だったようだ。

ハイキングの章も興味深い内容だった。
「歩き方―腰を振るようにして歩くのがよい。(中略)足先は真直に前方を指すか、少し内側に向けた方がよい。郵便運送人の歩き振をみるとたいていそうした風に歩いてゐる。此方の一歩は普通の一歩より一吋以上歩武が伸びる。亜米利加印度人も同じ歩き方をしてゐる。」
所謂「ナンバ歩」や「インディアンスライド」である。
大正の頃には、学校教育と徴兵で同側歩法は廃れていたと思っていたのだが、郵便配達のように歩くのが商売では残っていたようだ。
インディアンスライドは、以前某掲示板で浅利義遠氏が、昔の少年マガジンのグラビア特集で読んだと書き込んでいたので、それが最初だと思っていたのだが、既に大正時代に紹介されていたとは驚きである。


色々と参考になる部分も多く、たいへんに面白い本だが明らかな間違いもあった。
方位決定にある「年輪―北側のほうが明白に大きい(年輪と年輪の間の廣い事」とあるが、全くの逆である。
レオナルド・ダヴィンチにより説明がなされ、紐育森林委員会の調査でそれが裏書されたとあるが前提が逆だ。
それに、年輪は方位による日照以外にも、傾斜などの立地条件でも変わるので全く当てにならない。
距離の測定では、「音波の速度は一秒間約四十米」とあり、桁が足りない。
秒速四十米だと新幹線よりも遅い。


現在、マニュアルとしては疑問だが、啓蒙書として優れた本だと思う。
文体に暖か味があり、面白い。
便利な道具に慣れきっていると、気付かされる部分も多い良書である。
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by rwalker | 2009-09-16 00:20 |